「隓れた期待」を手放す

通勤中に電車が遅れたとき、レストランで注文した料理とは違う料理が運ばれてきたときなど、このような場面では多くの人が苛立ちや不満を抱くと思います。
この感情の根本的な原因は何なのでしょうか?
それは、「隓れた期待」です。
私たちは無意識のうちに電車が時間通りに到着することを期待し、料理が注文通りに届くことを期待しているんですね。
この期待が、怒りや不満を生む原因となっています。
このような場合、心穏やかに済ませるためにはどのように対処したら良いのでしょうか?
それは、「起こったことをそのまま受け入れ、少しだけ解釈を変えてみる」ということです。
たとえば、電車の遅延を「時間ができたので、読書を楽しもう」と前向きに捉えることで、その時間を有意義な時間に変えることができますよね。
違う料理が届いたのであれば、「自分ではあまり注文しない料理だから食べてみるのも良いかもしれない」と考えてみるのも良いかもしれません。(お店によっては再注文したほうが良いかもしれませんが)
つまり、「隓れた期待を自覚したうえで手放し、ありのままの現実を受け入れる」ということです。
それだけで、気持ちは落ち着いてきます。
また、私たちは人間関係においても多くの期待を抱いています。
部下が当たり前のように仕事をしてくれることを期待し、家に帰れば夕飯ができていることを期待しています。
じっくり考えてみると、きっと、こちらのほうが心当たりはありますよね。
他者への期待を手放すことは、心を穏やかに保つために非常に有効な方法です。
「あの人のせいで不幸になった」と感じても、その人の行動があなたの人生を狂わせているのではなく、その背後に潜む「あなたの期待」があなたの人生を狂わせているんですね。
期待を手放し、すべてをありのままに受け止めることで、多くのストレスを回避できるはずです。
これらの話を踏まえると、他人から助言を求められたような場合でも、相手に行動を強要するべきではないことがわかりますね。
それは、「自分の助言通りに相手が動いてくれる」という期待ですからね。
強要しなければ、相手の自由を尊重し、お互いの関係を良好に保つことができます。
「求められたら助言はするけど、最終的にどう行動するかは自分で決めてね」くらいがちょうどよいのかもしれません。
何より、相手自身に意思決定を促すことで、相手はより納得感を感じたうえで行動できるようになります。
あなたの助言を受けて、どう行動するかは相手次第です。
あなたの助言通りに行動してくれるとは限らないことを理解しておきましょう。
場合によっては、助言ではなく、相手が自分を見つめ直すきっかけとなるような質問や、深く考えられるような質問をするようが良い場面もあるかもしれません。
「〇〇したほうがいい」と助言するのではなく、「〇〇してほしい」と自分の希望として伝えるほうが相手に届く場合もあります。
どうしても相手を受け入れられない場合は、自分を変えるか、相手が変わるまで距離を置くかしかないです。
他人の性格を変えることはできないです。
人間関係においても、過去に投じた時間やお金といったコストを考えるべきではなく、現時点での最善の選択を行うことが長期的に見ても賢明な判断ですね。
互いに理解できない部分を認めつつも、それでも寄り添う努力をすることが、関係を築く上で重要です。
相手を否定することなく、お互いの違いを受け入れていきたいですね。
あなたの中の「あの人」と、実際の「あの人」は別人です。
その乖離の中に「あなたの期待」が含まれています。
相手が素直な人であればあるほど、その乖離は小さくなります。
裏表のない素直な人と人間関係を育んでいきたいですね。
最後に、他人を悪く思う時間があるなら、その時間を大切な人の幸せを願う時間に変えてみることをおすすめしたいです。
悪い点を探すよりも、ひとつでも良い点を見つけることが、自分自身の心を豊かにしてくれます。
他人に悪い感情を抱くことは、他人以上に自分を害しますからね。
あなたは誰かの不幸を望むほど暮ではないはずです。