幸せを求める前に、不幸を取り除く|否定神学から学ぶ引き算の生き方
人は何をしたら幸福になれますか?
この質問に、明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
幸福は人それぞれで、誰かの幸福が別の誰かの幸福とは限りません。
では、逆に考えてみましょう。
人は何をしたら不幸になりますか?
嫌な仕事、苦手な人間関係、過度なストレス——こちらの方が、はるかに明確に答えられるはずです。
実は、幸福を手に入れようとするよりも、不幸を取り除く方が確実に幸せに近づけます。
この考え方は「否定神学」と呼ばれ、古代から多くの賢人たちが実践してきました。
今回は、引き算で人生をシンプルにする生き方についてお伝えします。
否定神学とは?「何でないか」を考える思考法
あなたは「神が何であるか」を説明できますか?
突然、そんなこと言われても、見たことがないので説明できないですよね。
おそらく、あなたに限らず、すべての人が明確には説明できないと思います。
一方、「神が何でないか」だったらどうでしょう?
こちらはすべての人が「あの人は神ではない」「あの動物は神ではない」といったように明確に説明できるのではと思います。
ギリシャ人やローマ人、中世の思想家たちは、この思考法を「否定神学」と呼びました。
「否定の道」と呼ばれることもあります。
この思考法はあらゆる場面で役立ちます。
何事にもアップサイド(良い面)とダウンサイド(悪い面)が存在します。
そのときに、「アップサイド」をつかみにいくのではなく、「ダウンサイド」を取り除くようにするアプローチです。
幸福を追い求めると、なぜ不幸になるのか?
例として、あなたの幸福について考えてみましょう。
あなたは何をしたら幸福になりますか?
何を手に入れたら幸福になりますか?
幸福は人それぞれで、他者の考える幸福があなたにとっての幸福とは限らないですよね。
あなたのためを思って、誰かがあなたに対して行ったとしても、その行為であなたが幸せになれるとは限りません。
実は、心理学の研究でも、「幸福を追い求めること」自体が逆効果になることが示されています。
幸福を目標として設定すると、期待値が高まります。
そして、その期待に届かないと「まだ足りない」「もっと頑張らなければ」と感じてしまいます。
つまり、幸福を追い求めてリスクを取りすぎると、かえって不幸を招くこともあるということです。
不幸を取り除くことが、確実に幸福に近づく理由
では、逆に「何をしたら不幸になるのか」と考えてみましょう。
- 嫌な仕事
- 嫌いな上司との会話
- 借金
- 孤独
これらは誰にとっても不幸であり、取り除けば誰でも今よりも確実に幸福になれますよね。
不幸は、幸福と違って、誰にとっても共通しています。
古代ギリシアの哲学者、アリストテレスも次のように述べています。
賢人が目指すべきは、幸福を手に入れることではなく、不幸を避けることだ
まさに「否定神学」そのものですね。
不幸を取り除くことは、幸福を追い求めるよりもずっとシンプルで、確実です。
具体的に考えてみるとわかるとおり、「ダウンサイド」は「アップサイド」よりも明瞭で見つけやすいんですよね。
また、「ダウンサイド」を取り除いていくと、結果として「アップサイド」だけが残ります。
生き残ることが最優先、リスクを避ける生き方
過度なレバレッジをかけて投資で失敗した人もいれば、必要以上に大きなリスクをとって倒産した会社もあります。
どんなに才能があっても、結局は運が必要になるというのも事実です。
私たちは何事においても、第一に生き残ることが大切です。
まずはダウンサイドを避けつつ、生き残ることを優先しなければいけません。
作家のナシーム・ニコラス・タレブ氏は次のように語っています。
「有能であること」と「生き延びること」はまったく別の能力だ。そして、前者には後者が必要になる。破滅するのは、何としても避けなければならない
生き残っていれば、何か特別なことはしていなくても幸運に恵まれることもあります。
投資の世界でも、同じことが言えます。
世界一の投資家と呼ばれるウォーレン・バフェットは、驚異的な投資収益率を達成しました。
しかし、その成功の秘訣は「何をしたか」よりも「何をしなかったか」にあります。
バフェットは、投資に熱中するあまり過度の借入をすることはなかった。14回の不況を経験したが、パニックになって売りに走らなかった。特定の戦略や世界観、トレンドに固執しなかった。
バフェットは生き延びた——だからこそ、長期にわたって投資を継続できました。
破滅を避けることの重要性は、人生のあらゆる場面に当てはまります。
あなたの人生から取り除くべき「不幸」リスト
それでは、具体的に何を取り除けばいいのでしょうか?
あなたの人生のダウンサイドには何がありますか?
以下は、多くの人に共通する不幸のリストです。
1. ストレスの多い人間関係
- 嫌いな上司や同僚
- 一緒にいて疲れる友人
- 価値観が合わない人との付き合い
2. 意味を感じられない仕事
- やりがいを感じられない業務
- 自分の強みを活かせない環境
- 過度な残業や無理な目標
3. 過度な借金や経済的プレッシャー
- 返済に追われる生活
- 身の丈に合わない出費
- 見栄のための支出
4. 睡眠不足や不健康な生活習慣
- 慢性的な睡眠不足
- 栄養バランスの偏った食事
- 運動不足
5. 完璧主義や過度な期待
- 「完璧でなければならない」という思い込み
- 他人の評価を気にしすぎること
- 自分に厳しすぎる基準を設けること
これらの不幸を完全に取り除くことは難しいかもしれません。
でも、少しずつ減らしていくことはできますよね。
小さなことから始めることが大切です。
引き算で人生をシンプルにする3つのステップ
では、具体的にどうやって不幸を取り除いていけばいいのでしょうか?
以下の3つのステップを試してみてください。
ステップ1: 自分の不幸を書き出す
まずは、自分が不幸だと感じることを紙に書き出してみましょう。
- 仕事で嫌なこと
- 人間関係で疲れること
- 生活習慣で改善したいこと
- お金の不安
思いつく限り、すべて書き出してみてください。
書き出すことで、「ああ、自分はこんなことに悩んでいたんだ」と気づくこともあります。
ステップ2: 優先順位をつける
次に、書き出したリストに優先順位をつけます。
- 今すぐ取り除きたいもの
- 少しずつ改善したいもの
- 今は我慢できるもの
すべてを一度に解決する必要はありません。
優先順位の高いものから、少しずつ取り組んでいきましょう。
ステップ3: 小さく始めて、少しずつ取り除く
優先順位が決まったら、小さなアクションから始めます。
たとえば:
- ストレスの多い人間関係→週に1回だけ距離を置く時間を作る
- 意味を感じられない仕事→少しずつ転職活動の情報収集を始める
- 睡眠不足→寝る30分前にスマホを見ないようにする
いきなり大きな変化を目指す必要はありません。
小さな一歩から始めて、少しずつ不幸を減らしていく。
それが、確実に幸福に近づく方法です。
無理をせず、自分のペースで進めることが大切です。
よくある質問
ここまで読んで、「でも…」と思った方もいるかもしれません。
よくある質問に答えていきます。
Q1. 不幸を取り除くだけで本当に幸せになれるの?
はい、少なくとも今よりは幸せになれるはずです。
幸福とは、「何かを手に入れること」だけではなく、「不快なものがない状態」でもありますよね。
不幸を取り除くことで、心に余裕が生まれます。
その余裕が、新しいことに挑戦する勇気や、人に優しくする余裕につながります。
Q2. すべての不幸を取り除くのは無理じゃない?
たしかに、すべてを取り除くのは難しいかもしれません。
でも、完璧を目指す必要はないんですよね。
10の不幸のうち、3つでも取り除けたら、それだけで人生は大きく変わります。
Q3. 不幸を避けるって、リスクを取らないってこと?
いいえ、違います。
不幸を避けるとは、「破滅的なリスクを避ける」ということです。
チャレンジすることは大切です。
その中で、取り返しのつかないリスクは避ける必要があります。
生き残ることが最優先です。
Q4. 幸福を追い求めるのは悪いこと?
悪いことではありません。
ただ、幸福を追い求めることだけに集中すると、かえって不幸になることもあります。
大切なのは、バランスです。
幸福を追い求めるよりも、まずは不幸を取り除くことに集中する。
それが、確実に幸せに近づく方法だと思います。
まとめ:幸福は追い求めるものではなく、残るもの
幸せを求める前に、不幸を取り除く。
否定神学から学ぶ引き算の生き方についてお伝えしました。
- 幸福を追い求めるよりも、不幸を取り除く方が確実
- ダウンサイドはアップサイドよりも明瞭で見つけやすい
- 生き残ることが最優先、破滅を避けることが大切
- 自分の不幸を書き出し、優先順位をつけて、小さく始める
人生のアップサイドを探し求めるのではなく、まずはダウンサイドを取り除くことに集中してみませんか?
ダウンサイドを避けることで、自然とアップサイドが残ります。
それが、シンプルで確実な幸福への道なのかもしれません。
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