「視野が狭い」を改善する方法|アメリカのことわざから学ぶ柔軟な思考の鍛え方
「自分の考えに固執してしまう」
「新しいアイデアが出てこない」
仕事や日常で、このように感じることはありませんか?
ほとんどの人は自分の持っている特別なスキルを使い、あらゆる問題を解決しようとします。
以前、次のような話が話題になっていました。
「x = x + 1」という数式は、エンジニアにとっては自然に見える。
また、次のような話も聞いたことがあります。
「スーパーで牛乳を1つ買ってきて。もし卵が売ってたら2つ買ってきて」という依頼に対して、エンジニアである夫は、卵が売っていたから”牛乳を”2つ買ってきた。
確かにプログラミングの世界ではどちらも正しいです。
でも、さすがにどちらも違和感を感じます。
この記事では、視野が狭くなる原因と、柔軟な思考を鍛える具体的な方法をお伝えします。
視野が狭いとは?「金槌を持つ人には全てが釘に見える」
まず、視野が狭いとはどういうことなのでしょうか。
手段と目的が入れ替わってしまう
アメリカのことわざに次のようなものがあります。
金槌しか持っていない人には、すべての問題が釘に見える
これは、「特定の手段に固執していると、手段と目的が入れ替わってしまう」という認知バイアスを表したことわざです。
専門性が高い人ほど陥りやすい罠で、自分の得意な方法ですべてを解決しようとしてしまいます。
冒頭の例で言えば、エンジニアとしての視点が強すぎて、日常生活でもプログラミングの思考法を当てはめてしまっている状態です。
現実世界でxに数値を代入することはありません。
スーパーで卵が売ってたら、牛乳が多く必要になることもありません。
前者は学生、教師、数学者のような視点で考えなければいけません。
後者は夫の視点で考えなければいけません。
そうでなければ、日常生活のほうで致命的なエラーが起きてしまいますね。
「視野が狭い」とは?
視野が狭いとは、物事を多角的に捉えられず、自分の考えや経験に固執してしまう状態のことです。
思考の視野が狭くなり、他の選択肢が見えなくなってしまうんですよね。
「この方法しかない」
「こうあるべきだ」
そんなふうに、ひとつの考えに縛られてしまうと、新しい視点を失ってしまいます。
でも、本当にその方法しかないのでしょうか?
視点を変えれば、別の解決策が見つかるかもしれません。
視野が狭くなる原因とは?
なぜ、私たちは視野が狭くなってしまうのでしょうか。
その背景には、いくつかの要因があります。
専門性への過度な依存
自分の専門分野の知識や経験が強いほど、それに頼ってしまいます。
「いつもこのやり方でうまくいっているから」
そう思って、同じ方法を繰り返し使ってしまうんですよね。
成功体験は素晴らしいものですが、それが逆に視野を狭めてしまうこともあります。
専門性が高いからこそ、「他の方法があるかもしれない」という柔軟性を持つことが大切です。
固定観念や先入観
- 「こうあるべき」という思い込み
- 過去の経験から作られた思考のパターン
- 環境や教育によって形成された価値観
こうした固定観念や先入観が、視野を狭めてしまいます。
私たちの常識は、すべて仮説にすぎません。
竹内薫さんは『99.9%は仮説』の中で、このように述べています。
われわれの世界観、われわれが親から教わること、われわれが学校で教わること、そういったものは、すべて仮説にすぎません
でも、その仮説を「絶対的な真実」だと思い込んでしまうと、他の視点が見えなくなってしまうんですよね。
情報収集の偏り
自分の興味ある分野の情報しか集めない。
同じような考え方の人とばかり接している。
そんなふうに、情報収集が偏っていると、視野が狭くなってしまいます。
これは「確証バイアス」と呼ばれるもので、自分の考えを裏付ける情報ばかり集めてしまう傾向のことです。
無意識のうちに、自分の信念に合う情報だけを選んでしまうんですよね。
視野が狭いことによる問題点
視野が狭いと、どんな問題が起きるのでしょうか。
問題解決の選択肢が減る
一つの方法に固執すると、他の解決策が見えなくなります。
柔軟な対応ができなくなり、想定外の事態に弱くなってしまいます。
「親切な」学習環境と「意地悪な」学習環境という概念があります。
ゴルフやチェスのように、ルールが明確で同じパターンが繰り返される「親切な」学習環境では、一つの方法を極めることが有効です。
しかし、現実の世界は「意地悪な」学習環境です。
ルールが不明確で、繰り返しのパターンがあったりなかったりします。
こうした環境では、一つの方法に固執するのではなく、多様な視点を持つことが大切になります。
コミュニケーションの問題
視野が狭いと、他人の意見を受け入れられなくなります。
「自分が正しい」という思い込みが強くなり、異なる視点を持つ人との協働が困難になってしまいます。
相手の行動を「わがままだ」と捉えるのではなく、「その人なりの理由があるのかもしれない」と考えてみる。
それだけで、人間関係が楽になることがあります。
成長の機会を逃す
視野が狭いと、新しいことへの挑戦を避けるようになってしまいます。
学びの機会も狭まり、イノベーションが生まれにくくなります。
しかし、成長するためには、思い通りにならない経験も必要です。
思い通りにならないことを受け入れることで、柔軟性が身につき、次に同じような状況に直面したときに冷静に対処できるようになります。
思い通りにならないときの対処法については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
→ 思い通りにならないときの対処法|変えられることと変えられないことを区別して心を軽くする
視野を広げる5つの方法
それでは、視野を広げるにはどうすればいいのでしょうか。
ここからは、今日から実践できる5つの方法をご紹介します。
1. 多角的な情報収集を心がける
- 異なるジャンルの本を読む
- 自分と違う考え方の人の意見を聞く
- 複数のメディアから情報を得る
こうした多角的な情報収集が、視野を広げてくれます。
自分の興味ある分野だけでなく、普段は触れないジャンルの情報にも触れてみてください。
「このジャンルは自分には関係ない」と思っていたことが、意外なところで役に立つこともあります。
2. 「自分の考えは間違っているかもしれない」という前提を持つ
絶対的な正解はないという認識を持つことが大切です。
昔、ヨーロッパでは「白鳥(スワン)はすべて白い鳥である」と信じられていました。
ヨーロッパやアジア圏に生息する白鳥しか知らなかったからです。
しかし、オーストラリアで「黒い白鳥(ブラックスワン)」が見つかった瞬間に、「白鳥はすべて白い」という考え方はあっさり覆ってしまいました。
「今のところ間違いが見つかっていない」≠「完全に正しい」
このことを理解しておくことが、視野を広げる第一歩です。
3. 視点を変える習慣をつける
「世界を変える」のではなく「視点を変える」
これは、心を軽くする大切な考え方です。
世界を変えようとするのは簡単なことではありません。
自分の力ではどうにもならないことがほとんどで、変えられる部分があったとしても時間はかかります。
でも、自分の視点を変えることは、今すぐにできるんですよね。
「なんでこんなことが起きるんだろう」と嘆くのではなく、「この状況をどう捉えようか」と考える。
それだけで、心の持ちようは大きく変わります。
リフレーミングという技法を使うことで、物事を見る枠組みを変えることができます。
- 過去・現在・未来
- 内・外
- プラス・マイナス
といった複眼思考を身につけることで、柔軟な視点が養われます。
物事の捉え方を変える方法については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
→物事の捉え方を変える方法とは?リフレーミングで人生を楽にする実践ガイド
4. 新しい経験を積極的に増やす
未知のものへの恐れを手放してみてください。
視野が狭い人は、環境の変化や新しい人間関係など、これまで経験したことのない”未知のもの”に対する恐れが強い傾向があります。
でも、新しいことへの挑戦を避けていると、視野はどんどん狭くなってしまうんですよね。
- 異なる立場の人と交流する
- 日常のルーティンを意図的に変えてみる
こうした小さな変化が、視野を広げてくれます。
5. 「なぜ?」を繰り返す
表面的な理解で満足しないことが大切です。
「なぜそうなのか?」
「なぜそう思うのか?」
こうして「なぜ?」を繰り返すことで、前提を疑う習慣がつきます。
ガリレオは常識を前に目を曇らせるようなことはありませんでした。
目の前の事実を素直に受け止め、思考停止状態になるようなこともなく、考え続けました。
「なぜ?」を繰り返すことで、本質を見抜く力が養われます。
まとめ:専門性を活かしつつ柔軟な思考を身につける
視野が狭いことは、必ずしも悪いことではありません。
専門性が高いからこそ、深い知識や経験を持っているとも言えます。
大切なのは、その専門性に固執しすぎないことです。
「金槌を持つ人には全てが釘に見える」という罠に気づき、他の道具も使えるようになることです。
視野を広げる5つの方法
- 多角的な情報収集を心がける
- 「自分の考えは間違っているかもしれない」という前提を持つ
- 視点を変える習慣をつける
- 新しい経験を積極的に増やす
- 「なぜ?」を繰り返す
専門性を活かしつつ、柔軟な思考を身につけることで、より豊かな人生が送れるはずです。
まずは、今日できることから少しずつ始めてみませんか?
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