やらないのが一番はやい
書店に行くと、「時間術」の本が平積みになっているのをよく見かけます。
やることが多くて、やりたいことができない。
時間ができても、疲れ切っていて何もできない。
そんな人が多いのかもしれません。
時間に追われる現代人にとって、時間術は欠かせない存在となっているのではないでしょうか。
時間術というと、「今やっている作業をいかにはやく終わらせるか」という話になりますよね。
- 作業をリストで管理する
- 作業を小分けにする
- 期限を設ける
- 朝の時間を活用する
- ポモドーロテクニックを活用する
みたいな話です。
人によって合う/合わないはありますが、どれも間違ってはいないと思います。
実際、その時間術によって作業が捗る人もいるでしょう。
ただ、個人的には「やらないのが一番はやい」と思うんですよね。
そもそもやる必要がないのであれば、どれだけはやく終わらせても無駄になってしまいます。
良くも悪くも、どんなことでも習慣になっていると、「この作業、やらなくて良いのでは?」とは考えなくなってしまいます。
「仕事だからやらないといけない」
「お願いされたからやらなくてはいけない」
みたいに思い込んでしまうんですよね。
時間術を試す前に、まずは、すべての作業で「この作業は本当にやる必要があるのか」と考えるべきではないでしょうか。
そして、もし本当にやらなければいけないのであれば、次は「自分以外の誰かにお願いできないか」を考えてみます。
機械に任せられるなら任せてしまえばいいし、自分よりうまくやってくれる人がいるなら、その人にお願いしたほうが仕上がりも良くなります。
そして、「自分よりもうまくやれる人がいない」という作業であれば、きっとそれは「あなたが好きな作業」または「あなたが得意な作業」だと思うんですよね。
好きな作業なら、そもそも「時間術を活用して効率化しよう」なんて考えないはずです。
楽しいことなら続けられますからね。
ただ、こうした問いは、忙しさの真っ只中ではなかなか出てこないものです。
「時間がない」という状態だと、目の前の作業を終わらせることにとらわれてしまい、自分が置かれている状況を客観視するのが難しいです。
実は、これには「トンネリング」という名前があります。
人は何かが欠乏していると、目先の欠乏に対処することだけに集中してしまいます。
これは時間だけでなく、お金にも当てはまります。
トンネルの中にいると、出口しか見えません。
周りの景色、つまり本当に大切なことが、視界から消えてしまうんですよね。
忙しさには、手放せない心理がある
「忙しいのをやめたい」と思っているのに、なぜか忙しさから抜け出せない。
そんな矛盾を感じたことがある人も多いはずです。
忙しくしていると、なんとなく「自分は頑張っている」と感じられます。
逆に、何もしていない時間があると、「サボっているんじゃないか」と不安になってしまう。
「忙しい」が美徳とされる現代社会では、忙しさを手放すことに罪悪感を覚えてしまいます。
でも、忙しさは必ずしも「努力の証」ではないんですよね。
「人に任せるより、自分でやったほうが早い」と思って、すべてを抱え込んでしまうこともあります。
確かに、短期的には自分でやったほうが早いかもしれません。
でも、その分だけ自分の時間は確実に減っていきます。
目先の作業を終わらせることを優先するあまり、「そもそもこれは自分がやるべきことなのか」という問いを忘れてしまう。
これが、時間術を学んでも忙しいままになる大きな原因なのだと思います。
だとすると、必要なのは「やり方」を変えることではなく、「何をやるか」を変えることですよね。
もっというと、「何をやめるか」を決めることです。
グレッグ・マキューン氏は『エッセンシャル思考』の中でこう述べています。
努力の量が成果に比例するとはかぎらない。がむしゃらにがんばるよりも、「より少なく、しかしより良く」努力したほうがいい。
これまでの自分を責める必要はありません。
本来の問題は、「どうやるか」ではなく、「何をやめるか」です。
「何もすることがない」時間を作る
とはいえ、いきなり「やらないことを決めよう」と言われても難しいですよね。
試しやすいところから始めるなら、まず昨日のスマホのスクリーンタイムを確認してみてください。
きっと、自分の想像以上にスマホを開いていると思いますよ。
なんとなくSNSを見る時間、なんとなくニュースをチェックする時間。
それぞれは短くても、1日単位で見ると結構な時間になっていることが多いです。
この時間を意識的に減らすだけでも、1〜2時間程度のゆとりが生まれます。
そして、その時間で何かをするのではなく、まずは「何もすることがない」という時間にしてみる。
そうすると、「自分が本当にやりたいことをやろう」という気持ちになっていきます。
「暇つぶし」でスマホを見る人も多いと思いますが、暇はつぶすものではなくて集めるものだと思うんですよね。
こういった「何もすることがない時間」、つまり、「日々の余白」は多いほうが生きているって感じがします。
余白がないと、本当にやりたい仕事の依頼がきたのに受けられないとか、一緒に働きたい人から誘いがあったのに受けられないとか、チャンスが巡ってきたときにつかめないです。
スマホを開く前に、一度だけ手を止めてみる。
それだけで、トンネルの外の景色が少しずつ見えてくると思います。
あなたの今日のToDoリストに、本当はやらなくてもいいことが、ひとつくらい混ざっていませんか?