「都合の良いこと」より「本当のこと」を言ってくれる人

誰かに相談をすると、思っていた以上に優しい言葉が返ってくることがあります。

「大丈夫だよ」
「あなたは間違ってないよ」
「そのままでいいと思う」

聞いた瞬間はほっとしますよね。
でも少し時間が経ってから、「あの言葉は本当に正しいものだったのだろうか」と感じることがあります。

相談された側の立場に立ってみると、その理由がわかる気がします。

目の前で困っている人にわざわざ厳しい現実を突きつけたくないですよね。
関係を壊したくないという気持ちも働きます。
また、相談する側の主観で語られた話を聞いているので、そのまま共感してしまうのかもしれません。
だから多くの場合、相談する側にとって都合の良い答えが返ってくるのはごく自然なことなのだと思います。

これは相手が不誠実だからというわけではありません。
むしろ優しさゆえの反応だと思います。
だからこそ、都合の良い答えをくれる人を責める必要はないのだと思います。

問題はその優しさに慣れすぎてしまうと、自分の現状を正しく見られなくなることです。
誰に相談しても「大丈夫」としか言われない状態が続くと、本当に大丈夫なのかどうかを確かめる機会がなくなっていきます。
どんなに間違っていても、自分が正しいと思い込んでしまいます。

だからこそ、ありのままの現実を伝えてくれる人はほかの誰よりも大切にしたほうがいいと思うんですよね。

耳の痛いことを言われると、傷つくこともあります。
でも、その言葉の裏にあるのは「あなたのことをちゃんと見ている」という事実です。
都合の良い言葉を並べるより、ずっと手間のかかることをしてくれているわけですからね。

少し話は変わりますが、このことは本を読むときの姿勢にも似ている気がします。

本は読み手に気を遣ってくれません。
都合の良いように書かれているわけでも、読み手の機嫌を取ってくれるわけでもありません。
そこにあるのは著者が現実だと感じたことをそのまま並べた言葉です。

だからこそ、本の内容を自分のことと捉えて読むと、人に相談したときには得られないような納得のいく答えに出会えることがあります。

自分に都合の良いところだけを読むのではなく、痛いところも含めてそのまま受け取ってみる。

そうすることで初めて、本を読む意味が生まれると思います。

人に相談するときも、本を読むときも、根っこにあるものは同じかもしれません。
気持ちを軽くしてくれる言葉ばかりを求めていると、いつまでも現実は見えてきません。

少し痛くても、ありのままを伝えてくれる相手を選ぶこと。
それが結局、自分自身を大切にすることにつながるのだと思います。

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