考え方の引き出しを増やすと判断がラクになる|ひとつのやり方に頼らない思考法
「仕事では論理的に考えられるのに、人間関係ではうまくいかない」
「いつも同じやり方で問題を解こうとして、結局また行き詰まる」
こんな経験はありませんか?
実は、それは能力の問題ではなく、「考え方の道具」が足りないだけかもしれません。
ウォーレン・バフェットの右腕として知られる投資家チャーリー・マンガーは、複数の分野から「考え方の引き出し」を集めることで判断の質が上がると説いています。
今回は、考え方の引き出しを増やして、日常の判断をラクにする方法をお伝えします。
ひとつの考え方だけに頼るとどうなるのか?
私たちは誰でも、自分なりの「得意なやり方」を持っています。
- 仕事で身につけた論理的な考え方
- 学校で覚えた効率的な問題解決法
- 過去の成功体験から得た自分なりのルール
こうした「得意なやり方」は、とても頼りになるものです。
でも、ひとつのやり方をどんな場面にも当てはめようとすると、うまくいかないことがあります。
マンガーはこう指摘しています。
多くの専門家は、物事を自分の分野でのみ考え、その分野が何であれ、それですべての問題を解決できると思っています。例えば、栄養士は自分がどんな症状でも治すことができると思っているかもしれない
栄養士は栄養の知識で、エンジニアは技術の知識で、すべてを解決しようとする。
これは専門家に限った話ではありません。
私たちも日常生活で、同じことをしてしまいがちです。
たとえば:
仕事で「効率」を重視するのが得意な人が、人間関係にも効率を求めてしまうことがあります。
「この人と付き合うメリットは?」
「この時間は無駄じゃないか?」
効率は仕事では大切な道具ですが、人間関係に当てはめると、大切なものを見落としてしまうかもしれません。
マンガーは、こんなことも述べています。
まず、最初のルールは複数のモデルを持つことです。いつも使っている一つか二つのモデルしかないと、人の心理は現実をねじ曲げて自分のモデルに合わせるようにできているからです
考え方の道具がひとつしかないと、問題の方を自分に合わせようとしてしまう。
これが、いつも同じパターンで行き詰まる原因のひとつなのかもしれません。
なぜ「考え方の引き出し」が複数必要なのか?
場面ごとに、有効な「考え方の道具」は違います。
- 仕事の問題 → 論理的に考えると解決しやすい
- 人間関係の悩み → 相手の気持ちを想像する視点が役に立つ
- 人生の選択 → 「自分は何を大切にしたいか」という哲学的な問いが助けになる
ひとつの道具ですべてを解こうとするのではなく、場面に合った道具を選べるようにしておく。
それだけで、判断はずっとラクになります。
マンガーはこう考えていました。
幅広く考え、異なる分野のたくさんのモデルを理解できる人は、良い判断を下すことができる
しかも、考え方の引き出しには「複利」のような効果があります。
投資において複利の効果が働くように、知識もこれが増えてくると相乗的に効果を発揮する
引き出しが3個あるときと、10個あるときでは、組み合わせの数がまったく違います。
引き出しが増えるほど、新しい引き出しを作るのもラクになっていく。
最初はゆっくりでも、続けるほど加速していくんですよね。
「正解」をひとつに絞ろうとして疲れてしまう方には、こちらの記事もおすすめです。
→ 正解を求めすぎて疲れたあなたへ|成功法則より大切な「失敗への備え」という考え方
「考え方の引き出し」を増やすには?
では、具体的にどうすれば引き出しを増やせるのでしょうか。
3つの方法をお伝えします。
自分と違う分野の本を読む
マンガーは読書家として知られています。
人生で出会ったさまざまな分野の人たちのなかで、あまり本を読まないのに賢いという人には出会ったことがありません。ひとりもです
大切なのは、いつもと違うジャンルを選ぶことです。
ビジネス書ばかり読んでいるなら、たまには小説や歴史書を手に取ってみる。
心理学の本を読めば、人間関係の見え方が変わるかもしれません。
通勤中や寝る前の10分だけでも、普段触れないジャンルに触れてみると、それだけで新しい「引き出し」が生まれます。
他人の経験から学ぶ
すべてを自分で経験する必要はありません。
マンガーは、他人の経験から学ぶことの価値を大切にしていました。
他人の成功や失敗から学ぶことは、大きな痛みを被らなくても、より利口で賢くなるための最速の方法
- 伝記を読む
- 友人の体験談に耳を傾ける
- エッセイや記事を通じて、知らない世界を知る
自分では経験できない人生を追体験することで、考え方の幅は自然と広がっていきます。
知識を「格子」に引っかけて覚える
引き出しを増やすためのもうひとつのコツは、「覚え方」にあります。
経験として頭の中のモデルの格子に引っかける必要があるのです
「格子に引っかける」とは、新しい知識を既に知っていることと関連づけて覚えることです。
たとえば、心理学で「確証バイアス」を学んだとき、「あ、これは仕事で自分がよくやる思い込みと同じだな」と結びつける。
丸暗記ではなく、「これは前に学んだあの考え方と似ているな」と関連づけるだけで、定着しやすくなります。
物事の捉え方を変える方法については、こちらの記事も参考になるかもしれません。
→ 物事の捉え方を変える方法とは?リフレーミングで人生を楽にする実践ガイド
考え方の引き出しを日常で使ってみる
引き出しを増やしたら、実際に使ってみることが大切です。
ポイントは、「うまくいかない」と感じたときに、別の引き出しを開けてみることです。
仕事で行き詰まったとき
いつもの論理的なアプローチでうまくいかないなら、視点を変えてみます。
- 「相手は何を感じているか?」と心理学の視点で考えてみる
- 「歴史的に似た状況では、どうなったか?」と歴史の視点で考えてみる
- 「そもそもこの問題の前提は正しいか?」と哲学的に問い直してみる
いつもと違う引き出しを開けるだけで、見える景色が変わることがあります。
人間関係で悩んだとき
「正しいか間違いか」で判断しようとすると、人間関係は難しくなります。
そんなときは、別の引き出しを試してみてください。
- 「相手の立場からは、この状況がどう見えるか?」と想像してみる
- 「そもそも自分はこの関係で何を大切にしたいのか?」と問い直してみる
論理だけでは見えなかったものが、違う視点から見えてくることがあります。
思い込みが判断を歪めていることについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 思い込みを外す方法|「自分はダメだ」から抜け出す確証バイアスの克服法
自分の将来を考えるとき
進路やキャリアを考えるとき、「コストとリターン」だけで判断しがちです。
でも、それだけでは大切なものを見落としてしまうかもしれません。
- 経済学の視点:「この選択のコストとリターンは?」
- 心理学の視点:「何が自分を幸せにするか?」
- 歴史の視点:「似た選択をした人は、その後どうなったか?」
ひとつの引き出しだけで決めるのではなく、複数の引き出しを使って考える。
それだけで、後悔の少ない判断ができるのではないでしょうか。
まとめ:考え方の道具は多いほど、判断はラクになる
考え方の引き出しを増やす方法についてお伝えしました。
- ひとつの考え方だけに頼ると、すべての問題を同じ方法で解こうとしてしまう
- 場面ごとに有効な「考え方の道具」は違う
- 異なる分野の本を読む、他人の経験から学ぶ、知識を関連づけて覚える
- 考え方の引き出しが増えるほど、判断に迷うことが減っていく
「いつも同じやり方で行き詰まる」と感じるなら、それは新しい引き出しを増やすタイミングなのかもしれません。
まずは、普段読まないジャンルの本を1冊手に取ることから始めてみてはいかがでしょうか。
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参考文献
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