良かれと思って押し付けてしまう心理とやめる方法|「後悔する自由」を与えるという愛し方
「あなたのためを思って言っているの」
そう言いながら、相手の選択に口出ししてしまったことはありませんか?
家族のために頑張っているのに、なぜか関係がギスギスする。
相手のためを思ってアドバイスしたのに、嫌がられてしまう。
もしかしたら、その「良かれと思って」が、一番やっかいな押し付けになっているかもしれません。
本当に相手を大切にしたいなら、「後悔する自由」を与えることが大切なのかもしれません。
この記事では、なぜ私たちは良かれと思って押し付けてしまうのか、その心理と、相手の人生を本当に尊重するための考え方をお伝えします。
なぜ「良かれと思って」押し付けてしまうのか?
「良かれと思って」という言葉には、確かに愛情が込められています。
でも、その愛情が相手を苦しめてしまうことがあるんですよね。
なぜ私たちは、良かれと思って押し付けてしまうのでしょうか。
自分の後悔を相手にさせたくないから
「自分と同じ後悔をさせたくない」
そう思って、子どもやパートナーに何かと口出ししてしまうことはありませんか?
たとえば:
「もっと勉強しておけばよかった」という後悔があると、子どもに「勉強しなさい」と言いたくなってしまう。
「あのとき転職しておけばよかった」という後悔があると、同じ境遇の人に「早く動いた方がいい」とアドバイスしたくなる。
自分が経験した後悔を、大切な人にはさせたくない。
その気持ちは、とても自然なものだと思います。
でも、あなたの後悔と、相手の後悔は、同じものではありません。
「自分が正しい」という無意識の思い込み
「良かれと思って」の裏には、「自分の方が正しい」という思い込みが隠れていることがあります。
自分の経験や価値観に基づいて、「こうした方がいい」と信じている。
だから、相手にもそうしてほしいと思ってしまうんですよね。
でも、正しさは人それぞれ違います。
あなたにとっての正解が、相手にとっても正解とは限りません。
相手を信頼できていない不安
口出しをしてしまうのは、相手を信頼できていないからかもしれません。
「この人に任せて大丈夫かな」
「失敗するんじゃないかな」
そんな不安があると、つい手を出したくなってしまいます。
でも、その不安は、相手の問題ではなく、自分の問題なのかもしれません。
相手には相手の力があり、相手の人生があります。
その力を信じられないのは、相手のせいではなく、自分の心の問題なのかもしれません。
思い通りにならないことへの対処法については、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
→ 思い通りにならないときの対処法|変えられることと変えられないことを区別して心を軽くする
「あなたのため」が相手を苦しめる理由とは?
「あなたのためを思って」という言葉は、一見すると愛情深い言葉に聞こえます。
でも、実はこの言葉が、相手を一番苦しめることがあるんですよね。
善意だからこそ断りにくい
「良かれと思って」のアドバイスは、善意から来ているからこそ、断りにくいものです。
「せっかく心配してくれているのに」
「断ったら傷つけてしまうかも」
そう思って、本当は嫌なのに受け入れてしまう。
でも、受け入れた側は、どこかモヤモヤが残ります。
自分の意志ではなく、相手の意志で動いているからです。
善意が、相手の自主性を奪ってしまうことがあるんですよね。
「後悔する自由」さえ奪われる苦しさ
心理カウンセラー・作家の野口嘉則さんの著書『あなたの「眠っていた力」が目を覚ます生き方』に、印象深い言葉があります。
「良い大学へ行くように」と父親に言われ続けた高校生が、こう反論します。
俺には『後悔する自由』もないのか。自分のやりたいようにやって後悔するなら本望だよ。俺の人生は俺のものだ。『チャレンジしない自由』もあるし、『悔いのある人生を送る自由』もあるはずだ。それとも俺には、競馬の馬みたいに全力疾走するしか選択肢はないのか。
私たちは、相手に後悔させたくないと思って、先回りしてアドバイスしてしまいます。
でも、それは「後悔する自由」さえ奪っているのかもしれません。
自分で選んで、自分で失敗して、自分で後悔する。
それも、大切な人生経験なんですよね。
「尊重」とは何か?
では、相手を本当に尊重するとは、どういうことなのでしょうか。
エーリッヒ・フロムの名著『愛するということ』に、こんな言葉があります。
愛の第三の要素である尊重が欠けていると、責任は、容易に支配や所有へと堕落してしまう。尊重とは、その語源(respicere=見る)からもわかるように、人間のありのままの姿を見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のことである。尊重とは、他人がその人らしく成長発展していくように気づかうことである。
「尊重」とは、相手のありのままを見ること。
そして、その人が「その人らしく」成長していくことを願うことなんですよね。
「私のためではなく、その人自身のために」
フロムはさらに、こう続けます。
私は、愛する人が、私のためにではなく、その人自身のために、その人なりのやり方で成長していってほしいと願う。
「私のためではなく、その人自身のために」
この言葉は、とても大切な視点だと思います。
「良かれと思って」のアドバイスは、知らず知らずのうちに「私のため」になっていることがあります。
「私が安心したいから」
「私が心配したくないから」
「私が後悔したくないから」
相手のためと言いながら、実は自分の不安を解消しようとしている。
そうなっていないか、ときどき振り返ってみるといいかもしれません。
ただそこにいることの難しさ
臨床心理学者の河合隼雄さんは、『こころの処方箋』の中で、こんなことを書いています。
子どものためにできる限りの努力をした、などという人に会うと、この人は、解決するはずのない努力をし続けることによって、何かの免罪符にしているのではないか、と思わされることがある。それは、何の努力もしないで、ただそこにいる、ということが恐ろしいばかりに、努力のなかに逃げこんでいるのではないか、と感じられるのである。努力などせずに、子どものために父として母として、そこにいること、これは凄く難しいことだ。
「ただそこにいる」ことの難しさ。
何もせずに見守ることは、実は一番難しいことなのかもしれません。
口出しすることで、「自分は何かしている」と安心したい。
でも、本当に相手のためを思うなら、「ただそこにいる」という選択もあるんですよね。
「後悔する自由」を与える5つの実践方法とは?
では、具体的にどうすれば、相手に「後悔する自由」を与えることができるのでしょうか。
5つの実践方法をご紹介します。
相手の選択を「間違い」と決めつけない
あなたから見て「それは間違っている」と思える選択でも、相手にとっては意味があるかもしれません。
「その選択はおかしい」ではなく、「そういう考え方もあるんだね」と受け止めてみる。
正解は一つではないし、あなたの正解が相手の正解とは限りません。
まずは、相手の選択を「間違い」と決めつけないことから始めてみてください。
アドバイスは「求められたとき」だけにする
良かれと思って口出ししてしまう人は、相手が助けを求めていないのにアドバイスしがちです。
でも、求められていないアドバイスは、ただのお節介になってしまうことが多いんですよね。
聞かれたら答える。
そのスタンスを意識するだけで、押し付けはぐっと減ります。
相手が本当に困っているときは、自分から聞いてくるはずです。
それまでは、見守ることを選んでみてください。
自分の価値観と相手の価値観を分ける
「これが正しい」と思っていることは、実はあなたの価値観に過ぎません。
相手には相手の価値観があり、相手なりの幸せがあります。
自分の意見を押し付けるのではなく、相手の意見を聞いてみる。
価値観は違って当然だと認めることが、尊重の第一歩なのだと思います。
失敗したときに「支える」準備をする
相手に自由を与えるということは、相手が失敗する可能性も受け入れるということです。
でも、失敗したときに「だから言ったのに」と責めるのは、やめましょう。
「失敗しても、私はここにいるよ」
そう伝えることが、本当の愛情なのかもしれません。
先回りして失敗を防ぐのではなく、失敗したときに支える準備をしておく。
それが、相手の「後悔する自由」を尊重することなんですよね。
「見守る」という愛情表現を知る
口出しすることだけが愛情ではありません。
「見守る」ということも、大切な愛情表現です。
何も言わずに、ただそばにいる。
相手の選択を尊重して、信じて待つ。
それは、口出しするよりもずっと難しいことかもしれません。
でも、その「見守る」という姿勢が、相手に安心感を与えることもあるんですよね。
それでも口出ししたくなるときの心の整え方
頭では分かっていても、つい口出ししたくなることはありますよね。
そんなときの心の整え方をお伝えします。
自分の不安と向き合う
口出ししたくなるのは、自分の中に不安があるからかもしれません。
「相手が失敗したらどうしよう」
「自分が何もしないのは無責任じゃないか」
その不安は、相手の問題ではなく、自分の問題です。
まずは、「自分は今、何を不安に感じているのか」を言葉にしてみてください。
不安の正体が分かると、少し冷静になれることがあります。
「変えられること」と「変えられないこと」を区別する
相手の考えや行動は、基本的には変えられません。
変えられるのは、自分の考えや行動だけです。
「相手にこうしてほしい」と思っても、それをコントロールすることはできません。
でも、「自分がどう接するか」は、自分で決められます。
変えられないことに執着するのをやめると、心がずっと楽になります。
相手を信頼する練習を小さなことから始める
いきなり「すべてを任せる」のは難しいかもしれません。
まずは、小さなことから信頼する練習を始めてみてください。
「今日のご飯は何がいい?」と聞いて、相手の答えを尊重してみる。
「どっちがいいと思う?」と聞いて、相手の選択に口出ししない。
小さな信頼の積み重ねが、大きな信頼につながっていきます。
自分自身を満たすことの大切さ
他人のことばかり気にしてしまうのは、自分の心が満たされていないからかもしれません。
- 自分の趣味を楽しむ
- 自分のための時間を作る
- 自分を大切にする
自分が満たされていると、他人をコントロールしたい気持ちは自然と薄れていきます。
心の余裕の作り方については、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
→ 心の余裕の作り方|余裕がない原因と「スラック」で心のゆとりを取り戻す方法
まとめ:本当の愛情は「見守る」こと
「良かれと思って」は、愛情の裏返しです。
相手を大切に思っているからこそ、口出ししたくなる。
その気持ちは、決して悪いことではありません。
でも、その愛情が相手に伝わらなければ、意味がないんですよね。
相手には相手の人生があります。
相手には相手なりの幸せがあります。
「後悔する自由」を与えること。
それが、本当に相手を大切にすることなのかもしれません。
失敗しないように先回りするのではなく、失敗したときに支えてあげる。
それが、一番の愛情表現なのだと思います。
今日から、少しだけ「見守る」という選択をしてみませんか?
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