時間術を学んでも忙しいのはなぜ?|効率化より大切な「やらない」選択
「もっと効率的に時間を使おう」
「スキマ時間を活用しよう」
「ポモドーロテクニックを試してみよう」
時間術の本を読んで、いろいろ試してみた。
でも、しばらくすると元の忙しい毎日に戻ってしまう。
そんな経験はありませんか?
時間術が効かないのは、あなたのやり方が悪いわけではありません。
そもそも「やらなくていいこと」に時間を使っていることが、忙しさの本当の原因かもしれません。
この記事では、時間術が機能しない理由と、忙しさから抜け出すための視点の転換についてお話しします。
なぜ時間術を学んでも忙しいままなのか?
時間術と聞くと、どんなことを想像しますか?
- 作業をリストで管理する
- タスクを小分けにする
- 期限を設ける
- 朝の時間を活用する
- ポモドーロテクニックを使う
どれも間違ってはいないと思います。
実際に、これらのテクニックで作業が捗る人もいるでしょう。
でも、ここには大きな落とし穴があります。
時間術の多くは「今やっている作業を、いかにはやく終わらせるか」という発想です。
つまり、限られた時間に、いかに多くのことを詰め込むかという最適化の話なんですよね。
詰め込めば詰め込むほど、心の余裕はなくなってしまいます。
そして、いつか限界が来てしまう。
ひろゆきさんは著書の中でこう述べています。
本当は、できるだけ時間をかけずに、より多くの成果を上げたほうがいいわけで、時間と成果を比例関係で捉えていること自体が間違っているんじゃないか。
時間をかけた分だけ成果が出る、というのは幻想かもしれません。
そして、もっと根本的な問題があります。
それは、そもそも「やる必要のないこと」に時間を使っているということです。
やる必要のないことを、どれだけ効率的にこなしても意味がありません。
時速100キロで走っても、方向が間違っていたら目的地には着けないのと同じです。
良くも悪くも、習慣になっている作業は「これは本当に必要か?」と疑うことすらなくなってしまいます。
「仕事だからやらないといけない」
「頼まれたからやらなくてはいけない」
「ずっとやってきたことだから続けなければいけない」
そう思い込んでしまっているだけかもしれません。
『時間術大全』の著者たちは、こんなことを指摘しています。
リストに完了のチェックを入れるのは気分がいいが、つかのまの達成感で目が曇って「哀しい現実」が見えなくなる。その哀しい現実とは、「やること」のほとんどが、じつは自分ではなく他人の優先事項だということだ。
ToDoリストを消化する達成感に目が曇って、「そもそもこれは自分がやるべきことなのか?」という問いを忘れてしまう。
これが、時間術を学んでも忙しいままになる大きな原因ではないでしょうか。
予定を詰め込みすぎて余裕がなくなっている方は、こちらの記事も参考になるかもしれません。
→ 予定を詰め込みすぎて疲れたあなたへ|心に余白を取り戻す方法
「忙しい自分」を手放せない心理とは?
「忙しいのをやめたい」と思っているのに、なぜか忙しさから抜け出せない。
そんな矛盾を感じたことはありませんか?
実は、忙しさには「手放せない心理」が隠れています。
「忙しい=頑張っている」という思い込み
忙しくしていると、なんとなく「自分は頑張っている」と感じられます。
逆に、何もしていない時間があると、不安になってしまう。
「サボっているんじゃないか」
「もっとやるべきことがあるんじゃないか」
そんなふうに感じてしまうことはありませんか?
『TIME OFF』という書籍に、印象的な一節があります。
この見せかけの誇りを得ようと頑張りすぎて、精神の病や、燃え尽き症候群に陥り、不幸せになった人たちがこの社会にはあふれている。
「忙しい」が美徳とされる社会では、忙しさを手放すことに罪悪感を覚えてしまいます。
でも、忙しさは必ずしも頑張りの証ではないんですよね。
「自分でやったほうが早い」という罠
「人に任せるより、自分でやったほうが早い」
そう思って、すべてを抱え込んでしまうことはありませんか?
確かに、短期的には自分でやったほうが早いかもしれません。
でも、その分だけ自分の時間は減っていきます。
『しないことリスト』の著者phaさんは、こう書いています。
トラブルや仕事を背負っていないと落ち着かない、というのはあまり健全じゃない。自ら背負った「やらなきゃいけないこと」に追われるのではなくて、「別にやらなくてもいいけど自然と自発的にやりたいと思えること」を持っているほうがいい。
「やらなきゃいけないこと」に追われるのではなく、「やりたいこと」に時間を使えているか。
それが、忙しさの質を見極めるひとつの基準かもしれません。
時間の「欠乏感」が視野を狭くする
「時間がない」と感じている状態では、目の前の作業を終わらせることにとらわれてしまいます。
自分が置かれている状況を客観視するのが、とても難しくなるんですよね。
行動経済学者のセンディル・ムッライナタンは、この現象を「トンネリング」と呼んでいます。
欠乏は「トンネリング」を引き起こす。つまり、目先の欠乏に対処することだけに、ひたすら集中するのだ。
トンネルの中にいると、出口しか見えません。
周りの景色(本当に大切なこと)が視界から消えてしまいます。
時間がないからこそ効率化しようとする。
でも効率化に追われて、さらに余裕がなくなる。
この悪循環から抜け出すには、「やり方」を変えるのではなく、「何をやるか」を変える必要があるのではないでしょうか。
忙しさから抜け出すために本当に必要なこととは?
時間術を学ぶ前に、もっと大切なことがあります。
それは、「やらないことを決める」ということです。
「この作業は本当に必要か?」と問いかける
まず最初にやるべきことは、シンプルな問いかけです。
「この作業は、本当にやる必要があるか?」
やらないのが一番はやい。
当たり前のことなのですが、忙しさの中にいると、この視点を忘れてしまいがちです。
グレッグ・マキューンは『エッセンシャル思考』の中でこう述べています。
努力の量が成果に比例するとはかぎらない。がむしゃらにがんばるよりも、「より少なく、しかしより良く」努力したほうがいい。
「より少なく、しかしより良く」。
この考え方が、忙しさから抜け出す第一歩になるかもしれません。
「やめること」を具体的にどう決めればいいか迷う方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 時間の作り方は「やめること」を決めるだけ|忙しさから抜け出す3つのステップ
自分以外の誰かに任せられないか考える
本当にやる必要があると判断した場合でも、次に考えたいのは「自分がやるべきか?」ということです。
- 機械に任せられるなら任せてしまう
- 自分よりうまくやってくれる人がいるなら、その人にお願いする
- 完璧でなくてもいいなら、80%の出来でも任せる
「自分よりもうまくやってくれる人がいない」という作業であれば、きっとそれはあなたが好きな作業でもあるはずです。
好きな作業なら、そもそも「効率化しよう」とは思わないですよね。
「何もしない時間」を意識的に作る
忙しさから抜け出すために、もうひとつ大切なことがあります。
それは、「何もしない時間」を作ることです。
昨日のスマホのスクリーンタイムを確認してみてください。
きっと、想像以上にスマホを開いていると思います。
なんとなくSNSを見ている時間。
なんとなくニュースをチェックしている時間。
それぞれは短くても、1日の合計で見ると、1〜2時間は使っているのではないでしょうか。
この時間を意識的に減らすだけでも、かなりの余裕が生まれます。
その代わりに、何もしない、ゆっくりと過ごす時間を作ってみてください。
何もしない時間は、無駄な時間ではありません。
心に余裕を与えてくれる、大切な時間です。
余裕があるからこそ、本当にやりたいことが見えてくる。
余裕があるからこそ、目の前のことに丁寧に向き合える。
「心のスラック(余裕)」の作り方について、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 心の余裕の作り方|余裕がない原因と「スラック」で心のゆとりを取り戻す方法
まとめ:忙しさの原因は時間術では解決しない
- 時間術が効かないのは、やり方が悪いのではない
- 「やらなくていいこと」に時間を使っていることが、忙しさの本当の原因
- 「忙しい=頑張っている」という思い込みが、忙しさを手放せなくしている
- 時間の欠乏感が視野を狭くし、悪循環を生んでいる
- まずは「この作業は本当に必要か?」と問いかけることから始める
- 効率化よりも「やらない」選択が、心の余裕を生んでくれる
時間術の本を読んでも変わらなかったとしても、自分を責める必要はありません。
問題は「どうやるか」ではなく、「何をやるか」だったのかもしれません。
まずは今日、ひとつだけ「やめてもいいかもしれないこと」を探してみませんか?
それだけで、少し心が軽くなるかもしれません。
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参考文献
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