地球が崩壊しなかったとき——盲信と依存から抜け出すための思考
仮に、「神の声を聞き、未来を予言できる」という男性が現れたとしましょう。
彼の予言によれば、今年中に地球が崩壊するといいます。
しかし、彼の言葉に従う者は神のご加護を受け、生き延びることができるといいます。
信じる者は救われる? 矛盾だらけの信仰のカラクリ
もしこれが本当なら、驚くべき“保険”ですよね。
多くの人は、心のどこかで「その手に乗らない」と身構えますが、中には少しだけ揺らいでしまう人もいます。
なぜなら、このようなメッセージは、人間の本能に強く訴えかけるからです。
よくある話ですが、この手の「大予言」が的中したことはないですよね。
そんな中、年末が来て、地球も私たちも元気な顔を見せているとき、信者たちはどうしているのでしょう?
「あの預言者め、よくも騙したな!」と詰め寄るのでしょうか?
実は、そんなことはないんですよね。
実は、多くの信者たちは「私たちのおかげで地球は救われた」と互いに称賛し合い、信仰心をさらに強めます。
外部から見ると滑稽にも思えるこの解釈は「認知的不協和」という心理現象です。
自分の行動と結果が食い違うとき、人は現実をねじ曲げることで心の整合性を保とうとします。
「恥ずかしい」「悔しい」「自分は騙された」――そんな痛い感情を直視する代わりに、「私たちのおかげだ」と自己肯定で乗り切るわけです。
思考の「原理原則」を知れば、あなたはもっと自由になれる
この認知的不協和は、日常生活でも陥る可能性があります。
どこかの教祖やカリスマ的リーダーに限らず、日常的に耳にする「それっぽいこと」を、無意識に信じてしまうことはありませんか?
特に、明確な正解や即効性のあるアドバイスを欲しがる傾向が強いとされる、私たち日本人は要注意ですね。
誰かが「こうすれば絶対うまくいく」と説けば、多くの人が鵜呑みにしてしまいがちです。
しかし、残念ながら“インスタントな正解”は存在しません。
小手先のテクニックを詰め込んでも、それらは役に立たないことが多いのです。
学ぶべきは「原理原則」です。
なぜそうなるのか、どんな仕組みなのかといった基本思想や思考プロセスです。
こうした基盤さえ身につければ、どんな分野にも応用が可能になります。
その知恵を発揮することで、あなたはより強く、より自立的な人生を歩むことができるはずです。
また、閉じられたコミュニティが生み出す「エコーチェンバー現象」にも気をつけたいですね。
周りが「私たちは正しい」と声を揃える環境では、その“声”が事実であるかのように見えてしまいます。
そのような場所では異なる情報が入りづらく、私たちは新たな視点を失ってしまいます。
だからこそ、積極的に「都合の悪い情報」にも耳を傾けたいですね。
そのときは苦しくても、異なる見解に触れ、認知的不協和を解消する努力をすることで、より柔軟な思考を手に入れられます。
検証・思考・行動! あなたの未来を自分の手で形づくるために
怪しげな預言者や、“それっぽい”主張を鵜呑みにするのではなく、自ら検証し、考え抜き、行動することが重要です。
自分が如何に素晴らしいかを語る人に素晴らしい人はいません。
自分が如何に誠実であるかを語る人に誠実な人はいません。
「私のことを盲信してはいけない」という人ほど信頼できるというのは皮肉なものですね。
もし、誰かが極端な予言や「絶対的な成功の法則」を唱えたとしても、その法則に依存しないでくださいね。
自分なりに情報を集め、異なる角度から検討し、原理原則に立ち返ってみましょう。
認知的不協和を和らげ、エコーチェンバーの外に一歩踏み出す準備を始めてみませんか?
そうすることで、より豊かで誠実な学びを得ることができ、結果的にあなた自身の成功パターンを築くことができるはずです。
信じるべきは、他人ではなく、あなた自身の考える力です。
その力を磨くために、一歩を踏み出しましょう!