「確証バイアス」に囚われないために——思い込みを外す思考法
3, 6, 9, 12
これは、ある規則によって並べられた数字です。
どのような規則で並べられている考えてみてください。
あなたは、私に何回でも次の数字を確認することができるとします。
そして、私は正しい場合に「YES」、間違っている場合に「NO」と答えます。
おそらく、数学に堪能なあなたなら15, 18, 21, …と続けることでしょう。
そして、「3の倍数である」という結論を導き出すのではないでしょうか?
私たちの脳では「確証バイアス」というものが働いています。
自分の考えが正しいと思い込み、その条件に合う情報ばかりを集めてしまうんですね。
そして反対の情報は都合良く無視してしまいます。
最初に思いついた考えが正しいとは限りません。
私たちは、正しい理由を探すのではなく、間違っている可能性を探す必要があるんですよね。
新たな数字が示す意外な真実
もしあなたが「正解は3の倍数だ」と自信満々だとしたら、ぜひ別の数字を考えてみてください。
たとえば、「13」や「14」、あるいは「12.1」や「12.2」を続きの数字として確認してみたらどうでしょう。
本当のルールが「前の数字よりも大きな自然数」だったとしたら?
あるいは「前の数字より大きな実数」だったとしたら?
多くの人が、最初に思い込んだ「3の倍数説」を確認したくて、15や18といった3の倍数ばかりを挙げることでしょう。
私たちの最初の仮説は、「必ずしも正解ではない」ということです。
数学に長けている人でも、この罠にはまることが多いのは、私たちが「自分の考えが正しい」ことを証明しようとする性質を持っているからです。
日常生活に潜む確証バイアス
「確証バイアス」は、今回のような数字遊びに限った話ではありません。
たとえば、「私はダメな人間だ」と思い込んでいる人がいたとしましょう。
そのような人は、自分がダメである証拠——ミスした出来事、叱られた経験、失敗談——ばかり集め、「ほら、やっぱり自分はダメだ」と納得してしまいます。
家族や友人が「そんなことないよ、あなたには良いところがいっぱいある」と励ましても、「いや、あの時こんな失敗をしてしまったから…」と、プラスの情報を都合よく無視してしまいます。
気づかぬうちに、脳は「自分はダメ」という”思い込み”を必死に守り抜こうとしているんですね。
思い込みの鎖を外せば、世界はもっと広がる
確証バイアスの影響から抜け出せたら、新たな可能性に目を向けられるようになります。
「自分はダメ」ではなく、「実はこういう場面では力を発揮できる」と気づいたり、「このやり方が間違っていたかもしれないが、別の方法を試せばうまくいくかもしれない」と柔軟な発想にシフトできたりします。
たとえば、今まで「自分には音楽の才能なんてない」と思っていたけれど、本当は新しい楽器を試していないだけかもしれない。
「あの人には勝てない」と思っていた分野で、自分独自の強みを発揮できるかもしれない。
私たちが持っているポジティブな可能性は、自分が思っている以上に多いです。
確証バイアスから抜け出すための3つのステップ
最後に、あなたが確証バイアスを軽減するための、簡単な行動ステップを提案します。
- 反証探しの習慣をつける
何かを「これが正しい」と思ったら、「そうでない場合はどうだろう?」と、あえて反対の可能性を考えてみてください。
たとえば、「自分は不器用だから料理なんてムリ」と思ったら、「でも前に作ったカレーは意外と美味しかった」と、成功例を探してみましょう。 - 第三者の意見を聞く
家族や友人、信頼できる同僚に相談してみてください。自分では見落としている情報を教えてくれるかもしれません。
「本当に自分ってダメかな?」と聞いてみると、相手は「あなたはいつも優しくて、頼りにしてるよ」と、新たな視点をくれることでしょう。 - 新しいチャレンジで実験する
思い込みが強い分野で、あえて違うアプローチを試してみましょう。
もし「運動は続かない」と思い込んでいるなら、短い散歩から始めてみたり、新しいスポーツやダンスを試してみてください。面白い発見が待っているかもしれません。
新たな視点で世界を味わおう
次に何か「これが正解だ!」と思うことがあったら、その裏側にある別の答えを探してみてください。
あなたが思い込んでいる「正しさ」は、本当に唯一絶対の真実でしょうか?
違うかもしれないと一歩引いて考えることができれば、今より少しだけ世界が広がるはずです。
確証バイアスの鎖をゆるめ、あなた自身の可能性を再発見する旅に出てみませんか?