叱るよりも効果的な「褒める」アプローチ——相手を尊重し信頼を育む
突然ですが、教師の立場になって考えてみてください。
あなたのクラスに、平均的な成績の生徒がいます。
ある日のテストで、彼は驚くべき高得点を獲得しました。
あなたはその成績を称賛し、クラス全体の前で彼を褒めました。
しかし、次回のテストでは彼の成績は再び平均に戻ってしまいました。
そしてその次のテストでは、今度は彼は非常に低い点数を取ってしまいました。
この成績に対して、あなたは彼を叱り、もっと努力するよう促しました。
その結果、次のテストでは彼の点数が平均に戻りました。
今後、あなたは彼に対してどのように接しますか?
このような状況だと、多くの人が「褒めた時にはその状態が持続しなかったが、叱った時にはその後改善された」と感じてしまうんですよね。
そのため、「叱る教育が効果的である」という結論に至ってしまいます。
褒めるときも叱るときも、それは極端な状態であることが多いんですよね。
そのため、その状態は一時的なものなので、いずれは元の状態に戻ります。
すると、褒めたときは悪化したように見え、叱ったときは改善されたように見えてしまいます。
動物と強い信頼関係を築く飼育員や調教師は、常に褒めるアプローチを採用しています。
うまくできたときはご褒美を与える。
悪いことをしたときは叱るのではなく、ご褒美を減らす。
これこそが、信頼関係を築くための教育です。
この方法は、人間との関係においても非常に効果的です。
「私のことを思って叱ってくれているんだ」と言う人もいますが、叱る必要はないんですよね。
もし本当に相手を思いやるのであれば、「叱る」のような攻撃的な感情を含む行為は不要ですよね。
批判が必要な場合は、相手そのものではなく、相手の方針や行動に焦点を当てて批判することが大切です。
逆に、相手を褒める際には、その人の個々の良さを認めて称賛するようにしましょう。
その結果、相手の尊厳を尊重しつつ、批判や注意を行うことが可能になります。
また、自分に少しでも非がある場合は、まずその点について謝罪することが重要です。
自ら謝罪することには勇気が必要ですが、信頼関係を築くためには欠かせない行動です。
「自分は落ち度がない」と感じていても、冷静に考えてみれば、意外と見つかるものです。
自分の落ち度を探す作業は辛いかもしれませんが、その過程こそが自己成長につながると思います。
自分の悪いところが見つかるのはうれしいことですよ。
そこを改善することで、また少し成長できますからね。