記事一覧

変われない自分が嫌いなあなたへ|変わりたいのに変われない理由は意志の弱さじゃない

変わりたいのに変われない自分が嫌い。それは意志が弱いからではなく、変化を止める「サイドブレーキ」が隠れているだけ。変われない理由と心が軽くなる考え方を紹介します。

この記事のポイント

意志が弱いから

変われない自分を責める

ブレーキがかかっている

気づいて、それを外す

「変わりたいのに、変われない」
「また同じことを繰り返してしまった」

そんなふうに、変われない自分を責めてしまうことはありませんか?

転職サイトに登録したまま1年が過ぎた。
早起きしようと決めたのに3日で終わった。
人間関係を整理したいのに、結局いつもと同じ人に連絡を返してしまう。

そのたびに「やっぱり自分はダメだ」と感じてしまうのは、とてもつらいことだと思います。

でも、変われないのは意志が弱いからではありません。

変化を止める「見えないブレーキ」がかかっているだけかもしれません。

この記事では、変われない理由の正体と、自分を責めずに一歩を踏み出すための考え方を紹介します。

なぜ「変わりたい」のに変われないのか?

「変わりたい」と思っているのに変われない。

そうなると、つい「自分の意志が弱いからだ」と思ってしまいます。

でも、実はこれ、意志の問題ではないことが多いです。

行動科学者のジョーナ・バーガーは、著書『THE CATALYST』の中でこんなことを言っています。

この本の内容を一言で表現するなら、「サイドブレーキを見つける方法」となるだろう。サイドブレーキとは、変化を妨げている隠された原因のことだ。行動を阻止している障害を特定し、それを除去する方法を考える。
——ジョーナ・バーガー『THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』

つまり、変われないのは「アクセルが弱い」のではなく、「ブレーキがかかったまま」だからだと思います。

どれだけ「変わりたい」と思っても、サイドブレーキがかかっていたら車は前に進みません。

大切なのは、もっと強くアクセルを踏むことではなく、ブレーキの存在に気づいてそれを外すことです。

変化を起こすために必要なのは、力ずくで押すことではない。障害物を取り除き、ハードルを下げることで、人々の行動を促す。
——ジョーナ・バーガー『THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』

「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込む前に、まずは何がブレーキになっているのかを見てみるといいかもしれません。

変化を止める3つの「サイドブレーキ」とは?

では、変化を止めているブレーキとは具体的に何なのでしょうか。

大きく分けて3つあります。

「今の自分」を手放すのが怖い

1つ目のブレーキは、「今の自分を失うことへの恐れ」です。

人は何かを手に入れたとき、それに愛着を感じるようになります。
これは心理学で「保有効果」と呼ばれる現象です。

そして、変化のプラスとマイナスを同じ基準では評価しません。

想定される損失の2.6倍の利益があれば、人は行動を起こすという。
——ジョーナ・バーガー『THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』

「少し良くなるかもしれない」程度では、人は動かないということです。
今の自分に不満があっても、「今の自分」を手放すことのほうが怖く感じてしまいます。

想定される損失

同じ基準では評価しない

2.6倍の利益

これがあれば人は行動を起こす

ジム・コリンズの言葉を借りれば、こういうことだと思います。

グレートな人生を手に入れる人がほとんどいないのは、グッドな人生で満足するのがあまりにも簡単だからだ
——ジョーナ・バーガー『THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』

「まあ、今のままでもそこまで悪くないし…」

そう思えてしまう今の状況が、実は変化のいちばん大きなブレーキになっていることがあります。

「変わらなきゃ」というプレッシャーが裏目に出る

2つ目のブレーキは、「変わらなきゃ」という自分への命令です。

ちょっと意外かもしれませんが、「変わろう」と強く思えば思うほど、心は抵抗しやすくなります。

人は何かを禁止されると、かえってそれがやりたくなることがある。
——ジョーナ・バーガー『THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』

これは「心理的リアクタンス」と呼ばれる心理です。

人は「これをしなさい」「これをやめなさい」と言われると、自分のコントロールを取り戻そうとして、わざと逆の行動を取ることがあります。

  1. 「変わらなきゃ」

    自分への命令

  2. 心が抵抗する

    心理的リアクタンス

  3. わざと逆の行動を取る

そしてこれ、他人から言われた場合だけでなく、自分で自分に言い聞かせている場合でも起こります。

  • 「早起きしなきゃ」→ 余計に布団から出られない
  • 「転職活動を始めなきゃ」→ 求人サイトを開く気にもならない
  • 「もっと自分に自信を持たなきゃ」→ ますます自信がなくなる

臨床心理学者の河合隼雄先生も、こんな言葉を残しています。

ものごとは努力によって解決しない
——河合隼雄『こころの処方箋』

「変わらなきゃ」と頑張ること自体が、変化を遠ざけていることがあります。

自分自身を説得しようとするのではなく、まず「変わらなきゃ」というプレッシャーを手放してみる。

それだけで、心が少し軽くなるかもしれません。

「変わった先」がわからないから動けない

3つ目のブレーキは、「不確実性」です。

現状を維持したいのなら不確実性は大いに役に立つが、変化を求めているなら不確実性ほどやっかいなものはない
——ジョーナ・バーガー『THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』

何が手に入るかわからない。
変わった先の自分がどうなるかわからない。

そうなると、とりあえず今のままでいようとするのが、人の自然な反応です。

転職したら給料は上がるのか? 人間関係はうまくいくのか?
新しい趣味を始めて、自分に合うかどうかわからない。
距離を置いたら、あの人との関係は壊れてしまうかもしれない。

先が見えないことへの不安が、変化のブレーキになっています。

でも、考えてみると、未来が不確実なのは当たり前のことです。
確実な未来なんて、誰にもわかりません。

「完璧にわかってから動こう」と思っていると、いつまでも動けなくなってしまいます。

変われない自分を責めなくていい理由とは?

ここまで3つのブレーキを見てきましたが、気づいたことはありませんか?

これらのブレーキは、どれも「意志が弱いから」ではなく、「人間として自然な心の働き」です。

今の自分を守ろうとする。
自由を奪われまいとする。
不確実なものを避けようとする。

これらは、心が自分を守るためにやっていることだと思います。

だから、変われない自分を責める必要はありません。

ジョーナ・バーガーはこう言っています。

何かを本当に変えたいのなら、それを理解しなければならない
——ジョーナ・バーガー『THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』

「なぜ変われないのか」を責めるのではなく、まず理解すること。
「ブレーキがかかっているんだな」と気づくこと。

なぜ変われないのか

責める

まず理解する

ブレーキに気づく

自己批判をやめたいと感じている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

「自分のせい」にしてしまうのはなぜ?自己批判をやめたい人が知っておくべき心理と5つの対処法「自分のせい」にしてしまうのはなぜ?自己批判をやめたい人が知っておくべき心理と5つの対処法自己批判をやめたいのにやめられない。なぜ「自分のせい」にしてしまうのか、その心理と自己愛との関係、今日から実践できる5つの対処法を解説します。メンタルヘルス記事を読む →

「変われない自分が嫌い」という気持ちの裏側には、「変わりたいと思えるほど、今の自分に向き合っている」ということがあります。

それだけで、もう十分な一歩を踏み出しているのではないでしょうか。

小さすぎるくらいの一歩から始めるには?

それでも、何かしらの変化を起こしたいと思ったとき、どうすればいいのでしょうか。

ここで大切なのは、「大きく変わろうとしない」ということです。

『小さな習慣』の著者スティーヴン・ガイズは、こう言っています。

行動するのにモチベーションが必要だと信じることほど、危険な習慣はありません。
——スティーヴン・ガイズ『小さな習慣』

「やる気が出たら始めよう」と思っていると、いつまでも始められません。

モチベーションは感情に基づくものなので、上がったり下がったりするのが当たり前です。
それに頼っていると、永遠に「今日はやる気がないからまた明日」の繰り返しになってしまいます。

習慣化のコツについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

三日坊主を卒業する習慣化のコツ|毎日1%だけ成長する3ステップ三日坊主を卒業する習慣化のコツ|毎日1%だけ成長する3ステップ三日坊主になるのは意志が弱いからではありません。脳の仕組みを理解し、毎日1%だけ成長する3ステップで習慣化を成功させる方法を解説します。メンタルヘルス記事を読む →

では、どうすればいいか。

小さすぎて失敗するはずがない行動を毎日繰り返す。これが小さな習慣のキーポイントです。
——スティーヴン・ガイズ『小さな習慣』
  • 転職活動を始めたい → 求人を1件だけ見てみる
  • 早起きしたい → いつもより5分だけ早く起きる
  • 運動習慣をつけたい → ストレッチを1回だけする

「こんなの意味あるの?」と思うくらいで、ちょうどよいと思います。

大切なのは、成果を出すことではなく、「動けた」という事実を積み重ねることです。

先が見えないことが不安なら、「お試し」の気持ちで始めてみるのも一つの方法です。

合わなかったらやめればいい。
戻れるとわかっていれば、一歩を踏み出すハードルはぐっと下がります。

先延ばしが気になる方は、こちらの記事も参考になるかもしれません。

「めんどくさい」が先延ばしになる前に|すぐやるとなぜ心が軽くなるのか「めんどくさい」が先延ばしになる前に|すぐやるとなぜ心が軽くなるのか「めんどくさい」と感じる時間が長いほど、心は重くなります。先延ばしの不快感が発生する仕組みと、すぐやる・すぐ断る・正直に後回しにするという3つの選択肢をお伝えします。メンタルヘルス記事を読む →

まとめ:変われない自分を嫌いにならなくていい

「変わりたいのに変われない」と感じるとき、つい自分の意志の弱さのせいにしてしまいがちです。

でも、変われないのには理由があります。

  • 変われないのは意志が弱いからではなく、変化を止める「サイドブレーキ」がかかっているだけ
  • 3つのブレーキは「今を手放す怖さ」「変わらなきゃのプレッシャー」「先が見えない不安」
  • これらはすべて、心が自分を守ろうとしている自然な反応
  • まずは「なぜ変われないのか」を責めずに理解する。それだけで心は少し軽くなる
  • 変化の第一歩は、小さすぎるくらいでちょうどいい

「変わりたい」と思えている時点で、あなたはもう変化の入口に立っています。

あとは、サイドブレーキの存在に気づいて、それをそっと外してあげるだけです。

関連記事

参考文献

※Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。