誠実であり続ける難しさ——信頼を築くための小さな約束の重み

「誠実さは大事だ」と主張すると、多くの人は多くの人は同意してくれると思います。
しかし、私たちは”本当の意味で”誠実であることの重みを、日常のなかでどれだけ意識できているのでしょうか。
誠実という”状態”
誠実というのは、一度手に入れたらずっと維持できる“資格”のようなものではなく、日々の行動で育て、守り続ける“状態”だと思うんですよね。
「獲得したら終わり」ではなくて「コツコツと続けるからこそ成り立つ」ものなんですよね。
「部分的に誠実でいる」というのは、少し違和感があります。
相手にとって誠実ではない部分がひとつでもあれば、“誠実ではない”と思われても仕方ないんですよね。
些細なことでも、信頼関係にひびが入ってしまうことはあります。
それが誠実の怖いところでもあり、尊いところでもあるのかもしれません。
「自分は誠実だ」という人は、相手を騙そうとしているか、自己欺瞞に陥っているだけだと思います。
あなたは「私は誠実ですよ」という人を信じられますか?
誠実がもたらす“幸せ”
ここでちょっと想像してみてください。
もし、あなたが「裏表のない人だ」と思われていたら、周囲からの信頼がどれほど厚くなるでしょうか。
些細な約束ごとでもきちんと守り、決して相手を裏切らない人は、自然と「あの人なら大丈夫」と思ってもらえるはずです。
特別に大きなことをしなくても、ただ素直に、嘘なく行動するだけで、あなたの周りに安心の輪が広がっていくんですよね。
しかし、信頼関係を築くには何年もかかるのに、それを失うのは一瞬という厳しい現実もあります。
どこかで誰かを騙したり、何かしらのルールを破ったりしたら、それまで積み重ねてきた信頼が一気に崩れ去るかもしれません。
自分にとってはちょっとした不誠実な行動でもあっても、相手にとっては想像以上に影響が大きい場合もあるんですよね。
さらに、誰かとの約束は、同時に“自分自身との約束”でもあります。
相手との約束を破ったとき、それは自分に対しても嘘をついているようなものです。
そうやって“自分についた嘘”が積み重なると、嘘をついている自分が本当の自分になってしまいます。
とはいえ、世の中のすべての嘘が悪いわけでもありませんよね。
相手を気遣うための「今来たところだよ」という優しい嘘なら、誰かを傷つけるものではなく、気まずさを和らげる潤滑油として役立つこともあると思います。
要は「覚えておかなければならない嘘」をゼロにすることが大切なんじゃないかなと思います。
人を騙したり、自分を偽ったりするような嘘は、ヘマをすると不誠実であることがバレてしまうので覚えておかないといけないですよね。
覚えておかないといけないくらいなら、誠実で在り続けるほうがラクな気もしますね。
これらの嘘は除々に自分を蝕んでいきます。
“常に誠実”でいることのメリット
「誠実でいることって意外と大変そう」と感じるかもしれません。
確かに嘘をつかないというのは骨が折れるし、時には不都合な真実を伝えなきゃいけない場面もあると思います。
でも、そんな“少しめんどくさい行動”こそが、長い目で見るとあなたに大きなメリットをもたらします。
- 人間関係がスムーズになる
常に正直なコミュニケーションを心がけていれば、相手に余計な疑念や不安を抱かせることが減ります。「あの人は何考えてるんだろう」と勝手に悪い想像をされる機会も少なくなるので、結果として人間関係がスムーズになります。 - 自己肯定感が高まる
「あのとき言ったあれ、本当はこうだったのにな…」と引きずってしまうこともあると思います。そうしたネガティブな気持ちを抱え込まずに済むというのは、精神衛生上とてもプラスですよね。自分自身を肯定しやすくなって、心にゆとりが生まれてきます。 - 相手にも安心感を与えられる
「この人なら信頼できる」と思ってもらえれば、仕事の場面はもちろん、プライベートでもさまざまなチャンスが巡ってきます。結局、信頼を獲得できる人は周囲から応援されやすく、スムーズに物事を進められるんですよね。 - 余計な“覚えなきゃいけない嘘”がなくなる
常に誠実でいれば、自分が何を言ったのか、その都度思い返して嘘をつじつま合わせする必要がありません。余計なストレスが減る分、ほかの大切なことに意識を向ける余裕が生まれます。
こうしてみると、誠実でいることの恩恵はかなり大きいですよね。
誠実であればあるほど、長期的に見ると自分にとって大きなプラスとなります。
誠実な行動をとるために
では、どうやったら日常の中で誠実さを維持できるでしょうか。
- “小さな約束”を軽視しない
簡単な口約束や些細なルールでも、必ず守るように心がけましょう。相手が覚えていなくても、自分が覚えている限りは守るんです。その蓄積があなたの人間性をじわじわと高めてくれます。 - 嘘をつく前に“自分を裏切っていないか”を考える
誰かとの約束を破る前に、「これって自分を裏切る行為じゃない?」と自問自答してみましょう。そうすることで、意外なほど“誠実”があなたの行動基準になってきます。 - “相手を気遣う嘘”と“自分を守る嘘”の差を意識する
世の中には、優しい嘘もあれば、言わなくていい部分を隠す嘘もあります。しかし、自分を守るための嘘は、いつしかあなたを追い詰めてしまうかもしれません。本当に必要な嘘だけにとどめ、不要な嘘は手放すように心がけましょう。
誠実でいることは、”いつでも自分らしくいること”でもあると思います。
常に自分らしくいるために、小さなことからコツコツ続けてみませんか?
たとえば、今日の予定のなかで、自分が約束していることを一つだけ思い出して、意識的に守ってみる。
それだけで第一歩になります。
誠実はいつでも、あなたの行動ひとつひとつの積み重ねの先にあります。
たとえ最初は些細な口約束を守るだけでも、いつか大きな信頼となって返ってきます。
そして、あなたが手にするその信頼は、目には見えないけれど何より価値のある宝物になるはずです。
きっと、あなたが思う以上の良い変化が訪れるはずです。
